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江南の風  -王順水墨画展

作家紹介

 王順(おうじゅん)、また暁石で知られ、字は翰文。1950年中国遼寧省瀋陽市生まれ。中国現代書画家、中国東北地方を代表する書画名家。現任中国画画家協会理事、中国美術家協会遼寧分会会員、中国現代芸術家常務理事、逸雲軒書画院院長。

 王順は幼い頃から中国書画に深い興味を持っていた。1968年に下放され、1971年瀋陽に戻り、警察官として仕事をしながら中国書画の独学を始め、何十年も練習を続けてきた。2002年に退職した後、中国書道と水墨画の研究に専念し、プロの書画家となった。

 彼の作品は墨の濃淡、水・墨・色の調和、ぼかし、かすれ、滲み、筆を運ぶ時の勢いの強弱などを駆使し、簡素でありながら繊細な表現ができ、清らかに澄み渡り、透徹した大気の流れすら感じさせる。特に「焦墨山水」領域で顕著な業績を上げ、立体感が強く、単純なモノクロの世界にも関わらず、繊細で独特な筆遣いで真に迫った絵を描く。彼は多くの優れた作品においで、市、省及び全国大会、コンテストで受賞し、新聞、雑誌も掲載され、書画業界の多くの先輩及び有識者から好評を博している。作品の多くは国内芸術機構や個人のほか、アメリカ、日本、韓国、シンガポール、オーストラリアなど海外の個人コレクターに収蔵されている。今現在中国遼寧省を拠点に書画業界で活躍中。

作品紹介

 今年は日中国交正常化45周年を迎える年であり、王順がプロの職業作家としてデビュー15周年でもあります。この記念すべき機会に、水墨画の魅力と水墨画の表現の幅広さをもっとたくさんの人に伝えたく、本展を開催致しました。本展を通じて、より多くの方に水墨画芸術の発展と新しい成果へのご理解をより一層促進することと同時に中日両国国民間の相互理解と友情を深めていくことを願っています。

 「江南」は中国長江南岸地域全体を表わし、特に蘇州、無錫、嘉興など、下流域の南岸地域を指します。山紫水明、美しくて豊かな地で、「地上の天国」という美称も持ちます。江南の風景が好きで、王順は何度も訪ね、たくさんの作品を創作しました。本展で様々な技法で江南の美しい風景を伝えるだけではなく、自然に内在する生命と自然を支配する調和も描写し、世界共通語といわれる"芸術"を通じたメッセージで平和希求を唱えます。

江南早朝の景色 6点 

彩墨画  2017年 35cm x 35cm

 静かな雰囲気が漂っている江南の早朝を描く6点の作品です。緑をメイン色として墨と調和しながら、活気に満ちた山村景色を表現しています。木の描き方の変化をご注目ください。

雲水謠 | 松山雲起図 | 雲居図

山野農家  | 青山を仰ぎ見る

彩墨画  2017年 35cm x 35cm

 風水画とも言われるスタイルです。中国山水画の中で「雲」は家中が喜びにあふれている;「高山」は頼りになる人がいる;「民家」は子孫繁栄;「松の木」は財宝を招くという意味を持ちます。こちらの作品は輪郭線がはっきりしているのも特徴の一つになります。

江南小鎮の春・秋 四点

彩墨画  2017年 35cm x 35cm

 江南の建築物は独特の白い壁に黒い瓦屋根が多く、そして水郷に特有な水路と橋、船の景色はこのあたりの古鎮の共通特徴になります。この四点の作品は江南小鎮の春と秋の景色を描いたものです。春には黄色と緑、秋には赤で季節の変化を表現します。

村口 | 秋の記憶 | 渓山の秋

彩墨画  2017年 35cm x 35cm

 潑墨(はつぼく)で遠いところの山や茂みを描き、また点と線で細かい部分を描画する技法で完成する作品です。潑墨とは、画に墨をそそぎ,そのかたまりをぼかしながら描く方法です。

江峡帆影 | 空谷漁歌

彩墨画 2017年 35cm x 35cm

 山頂から眺める景色を薄い色と墨で表現する作品です。遠い山なみが、透けて見えるような淡いシルエット、峡谷に流れた川、そして揺れている小舟、美しい自然に囲まれた静かなシーンを描いてます。中国水墨画のもう一つの特徴とは「余白」です。「余白」とは、画面で描かれた対象物以外に、背景など作らず、紙の白のままの空間を残すことです。「余白」を文字通りに解釈するとと、「余った白い空間」と思われがちだが、佳い作品を細心に観察していくと、「余った」空間など存在せず、その「余白」は極めて緻密に計算された絶妙な抽象の世界だと判ります。

事事如意

彩墨画 2017年 35cm x 35cm

 この作品は王順の妻、周敏が描いた一枚です。実は絵を描き始めたのは今年です。「門前の小僧習わぬ経を読む」周敏はその諺で自分の事を例えています。毎日王順のそばにいって、直接絵を描いていなかったが、やはり筆の運び方や、色の使い方など目で覚えたといいます。水墨画の魅力をどんどん感じて、今年から描くようになりました。

 「事事如意」とは、中国語で「物事が思い通りになる」という意味の言葉です。「事」と「柿」の中国語の発音が同じなので、縁起がいいものとしてよく描かれています。オレンジ色は幸運の象徴で、「全てがうまくいく、順調に運ぶ」という意味です。

 王順の焦墨技法を代表する一作です。
 焦墨(ショウボク)とは、水を使って薄めることなく、ただ墨だけを用いて描く技法で、筆墨重ね合わせ、筆筆分明、立体感が強く、単純なモノクロの世界にも関わらず、繊細で独特な筆遣いで真に迫った絵を描きます。焦墨には独特の難しさがあり、筆で一気に描き、少しもごまかさないことが求められます。
 本作品には山道、谷、渓流、そして鬱蒼としげった樹木、そびえ立つ山、見れば見るほどその細かい点線で描いた風景に驚かされます。ゆっくり見て、探してみてください、クジャクが隠れているのを分かりますか?


 ※本作品は第24回雪舟国際美術協会展入選作品で、2017年12月13日~24国立新美術館で展示する予定。

秋壑清泉図

焦墨画 2015年 198cm x 68cm

高山渓流図 2点

彩墨画 2017年 65cm x 34cm 34㎝ x 34cm

扇面画6点

彩墨画 2017年 65cm x 34cm

 宣紙を扇子の形にしてから描いた装飾性が高い作品です。1行目と3行目の作品は日本画でよく使われる群青、緑青、朱を使って創作した作品で、輪郭線を強調し、強く印象に残ります。真中にある二枚と強烈な対照をなしています。

 黄色な宣紙を扇子や円の形にして描いた作品です。古代山水画の雰囲気を作り出したいときによく使われている方法です。

第二部 王雅妤の色鉛筆画の世界

作家紹介

 王雅妤(おう やゆう)、王順の娘。中国遼寧省瀋陽で生まれ、小さい頃から父の影響で芸術に強い興味をもち、中国では芸術系教育専攻で卒業。日本の自然や伝統文化が好きで留学生として2002年に来日。現在大手旅行出版会社で勤めながら、フォトグラファーとアーティストを目指して奮闘中。

 彼女の絵画作品は中国雲南重彩画の影響を受け、鮮やかな色と装飾的構図を色鉛筆で表現。日本で生活している彼女は日本の風景と中国雲南少数民族の衣装やスタイルを融合し、現実を超えた仮想世界を描き、自分の独自の世界を打ち立ている

作品紹介

横浜の夜景 色鉛筆

2017年 31.5cm x 32.5cm

 横浜在住の友人とその友人が飼っている猫ちゃんをモデルにして描いた作品です。

ファンタジー 色鉛筆

2017年 31.5cm x 31.5cm

 夜の森林で蛍と遊んでいる少女、そして周りのカラフルなキノコや植物などは妖精がでそうな雰囲気を作り出しています。

楽園 色鉛筆

2017年 31.5cm x 31.5cm

 蝶々と遊ぶ少女を描いた作品です。現実を忘れて、楽しい時間を過ごしたい時に心が癒される一枚になります。

アジサイの季節 色鉛筆

2017年 31.5cm x 31.5cm

 鎌倉にあるアジサイの名所—明月院を背景に、アジサイに囲まれた少女を描いた作品です。

花見に行こう 色鉛筆

2017年 31.5cm x 31.5cm

 桜満開の季節で花見パーティーに行く途中、電車を待っている少女を描いた作品です。

夕景 2点 色鉛筆

2017年 29.7cm x 21cm

 江の島の日の入を油絵風に描いてみた作品です。色鉛筆で着色後消しゴムで色を削ったりして海面の光と波を表現しています。

本日のご来場、誠にありがとうございました。作家の他の作品は下記リンクからご覧いただけます。

王順作品はこちら

王雅妤作品はこちら

また、本展で展示される一部の作品は販売しております。興味を持っている方はこちらで気楽にお問い合わせください。

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